瓶。

買い込んでいたはずの炭酸水が無くなったぁ。なんで?

飲んでしまった。私一人で。

出来れば早くほしいけど、運ぶの重い。いつもお酒の配達をお願いする酒屋さんに訊いてみた。炭酸ありますか?ありますよ。これこれこういう銘柄のなんですけど。あー、それは置いてないわ。ウチのは瓶のね。瓶?ですか。懐かしバヤリスオレンジの瓶が頭に浮かぶ。栓抜きこの間ホッピーで使ったけどなぁ、その時栓抜き探し回ったな、と思う私の心を見透かすように、ぐるぐると回して開けるやつね、とひと言。あー、あれか。じゃ栓抜き要りませんねー。電話の向こうで苦笑しているのがわかった。

瓶入りの飲料と聞けば即栓抜きな私は、凄い年寄りか。瓶ビールも長い間飲んでいない。

缶入り飲料を、缶の淵に引っ掛ける缶切りの小さいのみたいなのが付いていて、梃子の要領で向き合う2箇所開けるのを経験している年齢やし、今更凄い事もないが。

缶詰を缶切りでスコスコと開けてた年代やし。冷蔵庫の冷凍室は氷作るだけの所やったし、霜ついて、キリで突いて取ってたし。テレビはリモコンなかったし、電話はダイヤル式やった。流石にぐるぐる回してかける電話は知らないけど。

やって来た瓶は小さめの子だった。金属製の銀色の栓だった。

ペットボトルにしといたらいいのに、なんで瓶なんやろな。恰好つけかな。私は炭酸が飲めたらそれでいい。早速冷やした。

栓をぐるぐると開ける。グラスに注ぐ音が違った。確かに恰好いいわ。雰囲気もあって。

そう言えば飲みさしのファンタグレープを、その抜いた栓を瓶の口に当て、栓抜きで叩いてはめ直して冷蔵庫にしまった子供き時分もあったなと思い出した。次に飲む時は気も抜けていたけど、何もかもが便利ではなかった時代に若い頃を過ごせたのも実はとてもいい思い出だなと思う。

栓抜きは缶切りと一体のしか持っていない。栓抜きだけの、あの丸い部分に柄のついたのがほしいなと思った。