裸でお手上げやー。

大学も3回生が終わろうとする頃になると、この先どうするか、現実に向き合う事となる。

ある日、帰り道が一緒になった顔見知り男女数人でお茶する事になった。ミナミをうろうろしている内に、川に出た。すると一人の男の子が、先の方を指差して裸でお手上げやーと叫んだのである。えっ?私は意味がわからなかった。と、その子といつも一緒の連れの男の子が、グリコの看板の事よ、と教えてくれた。なっ、裸でお手上げやろ。あっ、そうか、そう言えば…。俺らの事よ。

4回生になったら、いよいよその先、就職をどうしよと言う話である。

中小だけど、代々続くお商売屋さんの家の子も多かった。いずれ継ぐにしても一旦所謂丁稚奉公で他所で働く。でも普通のサラリーマンや公務員家庭の子も勿論いる。さぁ一生どうやって生きていくか、就職どうしようかと悩みが深い。リクルート活動、今なら就活か、そんな言葉もない時代。

やっぱり一浪してマシなとこへ行くべきやったか。でもなぁ、浪人は負担が大きかった。あー、高校時代にもっと勉強したら良かった。苦笑、が続いた。さして取り柄もないしなぁ。あー努力もしてへんか。運転免許あるからなんとかなるやろ。いや、それ当たり前やろ。う〜〜ん。苦笑。○○どうするの?女子が私に訊いてきた。私は実は何も考えてなかったww バイトかなぁ。彼女は家事手伝いで見合い待ちかなと笑った。私らも裸でお手上げやー。いやあかんやろ、女はそれ。( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ \ \

今なら、看板背景にスマホで写真撮るところやったと思う。両端の子が腕を斜めに上げて。あれ、いつ頃からあんな風に撮るようになったのか知らないが。

それぞれ学部も学科も違ったし、4回になると、学校で顔合わす事もなくなった。私は週一ゼミに行くだけだった。

皆何処へ行ったのかな。

私達にとって、グリコとは、 裸でお手上げ→ 為す術も無し、と言う事だったのである。